日本生物教育学会九州支部 秋期研修会の報告 2020.11.29
今回の研修テーマは「オンラインでもできる実験・観察」でした。九州支部役員の話題提供者7名のうちの一人として、「イワシを通して学ぶ生物学と食文化」と題した発表をしました。以下、発表の要旨です。
一昨年度から身近な魚介類を教材として用い、「生物」の科目領域にとどまらず、食文化や化学、栄養学などへも学習内容を広げた教科横断的な授業を実践してきた。2018年度のカキ、2019年度のエビに続き、今回は庶民的な魚の代表であるイワシを教材とした。今回の研修テーマである「オンラインでもできる」かの検証も念頭に置きながら、生徒にカタクチイワシの煮干しを用いた解剖と観察、マイワシやウルメイワシを用いた調理実習にのぞんだ。時間の関係で生魚の解剖・観察を行えなかったことは残念であるが、カタクチイワシの煮干しを用いた解剖において、主として次のような長所と短所が明らかになった。
〔長所〕1.簡単な準備と手順で、手を汚さずに解剖できる。食べられるのでゴミが出ない。
2.乾燥しているため、組織の形や位置関係が明確に分かり取り出しやすい。
〔短所〕1.小さすぎるので細かい部分が観察しにくい。
2.乾燥しているため、もろく崩れやすく、変色していて色の違いが分かりにくい。
また、参考として、発表資料の一部と、授業で用いた課題(実習)プリントを添付します。
一昨年度から身近な魚介類を教材として用い、「生物」の科目領域にとどまらず、食文化や化学、栄養学などへも学習内容を広げた教科横断的な授業を実践してきた。2018年度のカキ、2019年度のエビに続き、今回は庶民的な魚の代表であるイワシを教材とした。今回の研修テーマである「オンラインでもできる」かの検証も念頭に置きながら、生徒にカタクチイワシの煮干しを用いた解剖と観察、マイワシやウルメイワシを用いた調理実習にのぞんだ。時間の関係で生魚の解剖・観察を行えなかったことは残念であるが、カタクチイワシの煮干しを用いた解剖において、主として次のような長所と短所が明らかになった。
〔長所〕1.簡単な準備と手順で、手を汚さずに解剖できる。食べられるのでゴミが出ない。
2.乾燥しているため、組織の形や位置関係が明確に分かり取り出しやすい。
〔短所〕1.小さすぎるので細かい部分が観察しにくい。
2.乾燥しているため、もろく崩れやすく、変色していて色の違いが分かりにくい。
また、参考として、発表資料の一部と、授業で用いた課題(実習)プリントを添付します。
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福岡県私学協会主催 授業力向上研修について 2020.11.13
11月11日(水)に福岡ガーデンパレスで開催された授業力向上研修会に発表者として参加しました。研修概要と発表内容を記します。
◎研修テーマ 「ICT教育推進」
◎スケジュール 午前中は講演
分科会Ⅰ 13:00~15:00(模擬授業・事例発表)
分科会Ⅱ 15:00~16:15(意見交換)
◎研修テーマ 「ICT教育推進」
◎スケジュール 午前中は講演
分科会Ⅰ 13:00~15:00(模擬授業・事例発表)
分科会Ⅱ 15:00~16:15(意見交換)
◎発表題
コロナに負けず、主体的な学びを育む反転授業の実践 (内容) これまで「生物基礎」と「生物」で反転授業の実践に取り組んできました。実際に反転授業を体験してもらいながら、その長所と短所、実践の要領などについて説明します。またコロナによる休校期間中の対応、教科横断型授業についても紹介します。 (発表項目・概要) 第1部:ICTと反転授業 これまでの実践してきた反転授業の紹介と模擬授業を行い、長所と短所や実践へ向けてのノウハウについて報告しました。 第2部:休校中の対応とwithコロナに向けて 勤務校における休校中のオンライン授業の状況を報告し、これからの学校・教師・授業の役割について考えてもらうためのヒントを提供しました。 第3部:ICTと教科横断型授業 生物の学習内容にとどまらない教科横断型授業の実践の重要性を説明し、いくつかの実践事例を紹介しました。 |
日本生物教育学会九州支部 夏期研修会の報告 2020.7.12
今回は初めてのオンラインでの研修会となり、「生物教育とオンライン授業」をテーマに、中高大4名の先生にコロナ渦中の実践報告をしていただきました。私も実践の事例を紹介させていただきました。下に報告の要旨とPPT資料を掲載します。
《報告の要旨》
新型コロナウイルス感染防止のため余儀なくされた学校の休校とオンライン授業の実施について、勤務校の対応を時系列で紹介した。特にオンライン授業の実施状況については、①シラバス達成率、②課題の提示方法、③指導指標(21世紀型スキル養成のために勤務校が定める教師の授業に臨む際の姿勢)項目の実施、④実施後の教師の気づき、⑤実施後の教師の意識について、アンケート調査をもとにした結果と若干の考察を行った。自身のオンライン授業の実践については、やや講義主体になった嫌いがあるが、それまでに作成しておいた反転授業の動画が予習や自学に役立ち、プリント教材との併用もあって、授業進度および生徒の理解度も良好であった。しかし、オンラインでは、生徒の反応や理解度を把握することが難しく、いかに授業に臨むモチベーションを上げるかの工夫が今後とも必要になってくる。今後も教材研究に励みたい。 |
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マイクロソフトMIEE 第5回 Monthly Teams Call発表資料 2020.3.7
マイクロソフト・認定教育イノベーターが集うサミットが九州開催(マイクロソフト福岡支社)の予定でしたが、新型コロナウイルス感染防止によりオンラインでの開催となりました。今回初めて発表させていただきましたが、40名を超える先生方に視聴いただきました。このような機会を与えていただいたことに感謝致します。発表内容は、勤務校におけるSGH事業をはじめとする探究活動と、この2年間で行ってきた生物での教科横断型授業の取り組みについてです。詳しくはpdfファイルをご覧ください。
発表後の質疑の中でご要望のあった、事後課題のルーブリック表を下に掲載します。とにかく「シンプルに」「分かりやすく」を心がけ、3段階で作成しました。
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第104回 日本生物教育学会全国大会(旭川)での発表 2020.1.11
この2年間で行ったカキとエビを教材とした教科横断的な取り組みの実践について発表しました。
全国大会での発表は3年ぶり、旭川に訪れたのは15年ぶりくらいでした。大会は北海道教育大学旭川校で開催されました。大会実行委員長を務められた元九州支部役員の安藤英俊先生と久しぶりにお会いでき、夜遅くまでお話しさせていただきました。大会での発表以外でも、旭山動物園では生き生きとした動物たちの姿を見て楽しんだり、美味しい北海道の食も堪能できました。 《発表タイトル》 カキやエビを教材とした「深い学び」 《発表要旨》 ※大会要項集の原文 高校2年の理系「生物」選択者を対象として,カキやエビを教材として分類・進化・生態・発生などの生物学的な内容,及び教材に関連する教科横断的な内容を盛り込み,生徒の深い学びを促す授業の実践を試みた.この取り組みについて報告する. 教材として用いたカキやエビは,日常よく見られる身近で親しみやすい生物である.まず,これらの生物を通じて,「生物」の学習内容に合わせて様々な生物学的視点で縦断的に学ぶ授業展開を考えた.これに加えて,生徒たちをより深い学びに導くために,教科の枠を越えて教科横断的に学ぶ内容を採り入れた授業を計画した. 授業の前半は学校の実験室で,生物学的な知識の習得を目的とする学習及び解剖実習を行った.後半は学校の周辺にある飲食店に移動し,主に調理法や食文化について実習した.指導者は,演者(生物担当者)だけでなく,家庭科教員や飲食店の調理人も務めた.このように,生徒たちが教材を通じた学問としての知識のつながりだけではなく,地域や人々のつながりも実感できるようにした.さらに授業後は,カキやエビについて言語学や環境問題,栄養科学などに関連する課題を与え,後日それらについて調べ考えてきたことを発表する機会を設けた. |
授業後に実施した小テストやリフレクションの結果を分析すると,この授業を通して生徒たちは,カキやエビについての生物学的な知識を習得できたのはもちろんのこと,様々な分野の知識と関連付けができ,新たに得た知識を自己の考えと絡めて創造するなどの「深い学び」を実現できたと考えられる.
今後は,カキやエビに代わる身近で親しみやすい教材を用いた授業を計画したり,この実践内容をカリキュラムマネジメントにより他教科と連動させた取り組みになるよう発展させたい.そしてこれからも「生徒たちの記憶に残る,教科を越える学び」を採り入れた授業をさらに開発し,生徒の「深い学び」を促していきたいと考えている. |
第101回 日本生物教育学会全国大会(東京)での発表 2017.1.8
本来ならばこの大会は熊本で開催される予定でしたが、予期せぬ熊本震災により開催できなくなりました。しかしながら、ありがたくも東京学芸大学が会場校になることを引き受けてくれたことで、2年続きで東京での開催になりました。前回の大会も、次回開催予定地の代表の一人として参加しましたが、今回は東京の先生方への感謝とお詫びも兼ねて伺いました。
ここでの発表は、SGH事業の探究活動の中で生物教育に関係する部分を焦点化しまとめたものです。 《発表タイトル》 学校設定科目「探究科」における「食と環境」の実践 《発表要旨》 ※大会要項集の原文 本校は平成27年度より文部科学省からスーパーグローバルハイスクール(以下SGHと略記する)に指定され,研究開発構想名『地球規模の課題「食」を通じたグローバルリーダーの育成』を掲げて学年進行で事業を展開している.2年目となる今年度からは,高校2年生のSGクラスにおいて学校設定科目である「探究科」に取り組んでいる.この科目は,本校のSGH事業の根幹をなすものであり,2・3年次に各2単位を設け,食に関する4領域の探究テーマ(「食と社会文化」「食と環境」「食と経済」「食と栄養」)を掘り下げて学習する過程を通してグローバルリーダーの育成を行うことがねらいである.実施にあたっては,異なる教科の担当者がチームを組み,連携した教科横断型の授業で進めている.また,評価はルーブリックを用いることで,開発した指標をもとに生徒自らのリフレクションや指導者によるフィードバックを通じて,学びの意義や進捗状況,達成度などをできるだけ早い段階で随時に把握できるようにしている. 今回取り組んだ「食と環境」の領域においては,7月中旬から9月上旬にかけて延べ9時間の授業を実施した.主な内容としては,土壌と食とのつながり,堆肥化の意義の理解と実践(コンポスト製作と生ゴミの堆肥化),食と環境に関わる問題点とその解決法の個人発表などを扱った. |
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実践の成果としては,食と環境に関する学習意欲や堆肥化についての興味・関心の高揚,より積極的に意見を述べる姿勢,ICTを駆使したプレゼンテーションの技術や表現能力の向上などがあげられる.
ここで実践した生ゴミの堆肥化については,ESD(持続可能な開発のための教育)の一環としてアメリカの2校,および本校を含めた日本の2校との共同プロジェクトを現在進行中である.今後は特定のクラスの授業実践だけにとどまらず,学校全体の取り組みとして活動の場を広げることで,より多くの生徒たちの食と環境に関わる問題解決能力や行動力を高めていきたいと考えている. |
第100回 日本生物教育学会全国大会(東京)での発表 2016.1.12
久しぶりの全国大会での発表。前日に東京入りして、その日の夕方から夜遅くまでイタリア料理講習に参加し、翌朝に学会会場の東京理科大学へ。発表の後、座長も務め、懇親会と二次会に参加。大会2日目も最後まで参加し、翌日の夜に福岡に戻りました。
反転授業の実践例がまだほとんどなく、興味のある熱心な先生から質問をたくさん受けました。 《発表タイトル》 高校「生物基礎」における反転授業の試み 《発表要旨》 ※大会要項集の原文 本校では,平成25年度から生徒による21世紀型スキルの習得を目指し,教科指導の改革を行ってきた.また,今年度からは文科省よりSGH(スーパーグローバルハイスクール)事業の指定・認可を受けたこともあり,AL(アクティブラーニング)型授業の導入を積極的に行っている.演者は,これまで校内でのAL型授業の普及を推進するために様々な取り組みを行ってきた.その中でも,今年度からは本格的に教科指導を反転授業で行い,生徒の主体的な学びや協働的な活動の時間をできるだけ確保するとともに,授業参観やALセミナーの定例会を開催して本校の教職員に指導法のアイデアを提供しているところである.今回の発表では,高校1学年「生物基礎」の反転授業の実践を次の6項目について報告する. 1. 本校の現状と実施の動機…2単位科目の授業時数不足や生徒の受け身的な学習姿勢の問題を解消したい. 2. 生物教育における反転授業の位置づけ…反転授業は,あくまで指導方法の一つである.ナマの生物に触れ,実験・観察するなどの実体験を疎かにせず,それらを支援する方法として捉えている. 3. 反転動画作成の要領と授業準備…シナリオ作成→動画作成→ホームページへのアップデート→小テストおよび課題プリントの作成→AL型での授業デザイン |
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4. 予習の確認…毎時間の始めに小テストを行い,基本事項の理解度を確認した後,授業を進めている.また,予習によるノート作りが確実かつ適切に行われているかを,ルーブリックを用いて評価している.
5. 授業の展開例…小テスト→基本事項の確認のための演習と補足説明→発展演習→まとめと振り返り 6. 成果と今後の課題・展望…予習の定着に伴い実質的な学習時間の増加が見られ,学習に対する主体的な取り組みや協働する姿勢が強化された. 今後,多くの学習者が利用できるよう動画コンテンツを充実させ,普及させていきたい. |